マンションの排水管は、各住戸がつながる「見えないインフラ」です。どこか一戸の配管で詰まりや漏水が起きると、共用管を通じて他の部屋や階下に影響が及ぶこともあります。そのため、排水管清掃は管理組合が主体となって計画的に実施することが求められます。
排水管清掃の目的は、管内に付着した油脂や髪の毛、洗剤カスなどを除去し、排水機能を健全に保つことです。単なる“掃除”ではなく、配管の延命や衛生環境の維持、漏水事故の予防につながる重要な管理業務といえます。
清掃は通常、年1回の定期実施が推奨され、高圧洗浄機を使って各住戸の排水口から管内を洗い流します。詰まりや腐食を防ぐだけでなく、悪臭や逆流、漏水のリスクを減らす効果もあります。全戸一斉で行う場合は、事前に住民へ周知し、作業当日は各室への立ち入りが必要です。
作業後に提出される報告書は、劣化状況や再清掃の必要性を判断する貴重な資料になります。また、清掃調査を依頼すれば、勾配不良や腐食を早期に発見でき、長期修繕計画の精度を高められます。
排水管清掃は「費用」ではなく「投資」と捉える視点が重要です。定期的な実施と情報共有を習慣化することが、建物の安心と資産価値を守る鍵となります。