排水口から漂う嫌な臭いは、多くの家庭やマンションで共通する悩みのひとつです。その正体は、排水管内部に付着した汚れと、それを栄養に繁殖する微生物です。台所では油や食べカス、浴室では髪の毛や皮脂、洗面所では石けんカスが少しずつ堆積し、やがてヌメリ状のバイオフィルムを形成します。この膜に雑菌が繁殖すると、腐敗臭や硫黄臭など強烈な臭気が発生します。さらに、排水トラップに水が残っていないと、封水が切れて下水の臭いがそのまま室内に逆流します。
特に長期間留守にした住戸や使用頻度の少ない水回りでは起こりやすい現象です。悪臭を防ぐためには、年1回程度の高圧洗浄による排水管清掃が有効です。専用機材で管内の付着物を一掃すれば臭いの元を断つことができます。
また、日常生活の中でも、油や大量の食べ残しを流さない、排水口のゴミ受けをこまめに掃除する、定期的に水を流して封水を保つといった基本的な習慣が欠かせません。清掃と日常管理を組み合わせることが、悪臭を寄せつけない快適な住環境を保つ秘訣です。